大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)6334号・昭43年(ワ)4977号 判決
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〔判決理由〕第三、損害
一、亡松信の逸失利益
亡松信が死亡時満八才の男児であつたことは当事者間に争いがなく、第一二回完全生命表によれば、満八才の男子の平均余命は六一、七三年であることが認められるので、亡松信は、少くとも満一八才時より六三才時まで四五年間は稼働しうるものと推定するのが相当であり、その間、控え目に見積つて、男子全労働者の一八才時の平均賃金程度の収入を得られるものと推認するのが相当であるところ、労働省労働統計調査部編賃金構造基本統計調査報告「賃金センサス」第三表によれば、男子労働者の一八才ないし一九才時の平均月間きまつて支給を受ける現金給与額は金三二、三〇〇円であり、平均年間賞与その他の特別給与金は金四〇、七〇〇円である事実が認められるので、控除すべき生活費を収入の五割とみて、ホフマン複式年別計算により得べかりし利益の現価を算定すれば、金三、八八二、一一一円(円未満切捨、以下同じ)となる。
(〔三二、三〇〇×一二〕+四〇、七〇〇)×二分の一×(二六、〇七二―七、九四四)=三、八八二、一一一、
原告らは亡松信の逸失利益額の算定につき別表記載の算定をなすが、右は独自の主張であつて、採用のかぎりではない。
二、原告らの慰藉料
亡松信を失つた原告ら両親の精神的苦痛の大きいことは容易に推認されるところであるから、本件に顕れた一切の事情(但し後記過失割合の点を除く)を考慮して、原告らの慰藉料を各金一、五〇〇、〇〇〇円とするを相当と認める。
三、過失相殺
<証拠>を総合すれば、本件事故現場は道路の幅員が三、九メートルの東西道路と幅員六、六メートルの南北道路とが交差する交通整理の行われていない見通しの要い交差点であるが、訴外杉山は事故車を運転して時速約三〇キロメートルで本件事故現場交差点を東より西へ進行し、徐行することなく同交差点に進入しようとしたところ、右前方約六、四メートルの地点に北から南へ同交差点に進入しようとしている二台の足踏自転車を認め、約六メートル進行した同交差点内で亡松信乗車の自転車に事故車右前部を衝突させて同人を跳ねとばし、直ちに急制動の措置をとつたが及ぼす、亡松信を轢過するに至つたこと、一方、亡松信は、足踏自転車の後部に妹光代を同乗させ、妹光代の友達である訴外久岡敏也運転の子供用自転車にやや遅れながら同車の西側(右側)後方を運転走行し、本件事故現場交差点にさしかかつたが、左右の安全を確かめることなくそのまま同交差点を通過しようとしたため、折から西進してきた事故車の右前部と自転車の前輪部分とが衝突するに至つたことが認められ、右認定に反する証拠はない(なお、訴外久岡の自転車はその後部が事故車に接触し、同人および亡松信の自転車の後部に同乗していた光代は、いずれも衝突の衝激で転倒したが、幸い比較的軽傷に止つた)。これによれば、本件事故は、訴外杉山の進行する道路よりこれに交差する道路が一見して広い道幅であり、見通しの困難な交差点であつたのであるから、同訴外人において徐行して左右の安全を確認して進行する義務のあるところ、これを怠つた過失と、左右の安全を確認せず同交差点に進入した亡松信の過失とが競合して発生したものと認められ、右両者の過失の割合は、前記認定の事実を総合して、訴外杉山(被告側)を八、亡松信(原告側)を二と認めるを相当とする。(吉崎直彌)